[映画]彼は秘密の女ともだち Ume nouvelle amie(2014) フランソワ オゾン

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女装癖がある男と友達の女との友情物語として、僕には見えた。しかしそれだけではない。

 子どもの頃から友人だったクレールとローラ。やがて2人は大人となり、それぞの結婚生活を送るが、ローラは生まれたばかりの子供と夫のダヴィッドをこの世に残し死別する。その後、見舞いに来たローラの親友は女装して子供をあやすダヴィッドを見て仰天する。女装とは男性にとって一体どんなものなだろうか?

1888年に出版されたニーチェがワーグナーについて書いたエッセーで象徴についての議論がある。生と闇であるが「闇は死であり、無知であり、情熱であり、愚劣でもあり、カオスでもある」しかし、それは人間の残像と生への誘惑でもあると。

女装がローサの親にバレたら子供が取り上げられると狼狽える。妻に先立たれたヴィッドは親友とセックスもするし、”大柄の男”は街のお洒落なヴァルジニアで女装をしてデートもする。ダヴィットの自由奔放な性の輝きを目の当たりにして、親友の女性は平凡と美しさが共存する女性へと変わっていく。人間は生と闇が共存する遥かなる大地でもある。そう、人生は凡庸で普通なのだ。

前世と来世のつながりの中に現在があるというのは仏教の基本的な考えであり、身体においても「生きていた愛する女の体と未来の自分の体は現在ともにリンクし合っている」(The Tibetaltan book of the dead, p24)とも解されよう。式の日に溢れ出す彼女の瞳、死体となった妻のコルセットを外して冷えた唇に口付けをする。そのときに、女の服を着たいという気持ちが生まれたとダビットは女装する理由について告白する。

「人生には愛とワインがあればいい」というが、この映画は私の好みの女優がいない。その点は凡庸である。

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